少子高齢化が課題となる中、一方で声高に叫ばれているのが待機児童の問題だ。仕事復帰をしたい母親でも、子供を預ける先がないため働けない状態となっており「もっと女性が活躍できる社会」を目指す日本としては悩ましいジレンマに陥っている。そもそも待機児童の多さは、保育園や保育士の不足が大きな原因の一つだ。大変な仕事なのに給与もそう高くない。
『ぼくたち保育科高校1年生』(弾正よしかげ/集英社)という漫画は、そのタイトル通り、保育科高校に通う男子生徒を中心に描いたものだ。真面目に保育を学びながらも、友情や恋愛などを絡めつつ、個性豊かな登場人物が真剣にボケたり、激しく突っ込んだりするコメディ漫画である。「いい話だな~」というエピソードの後にも鋭いツッコミが入るので、ほっこりするのは一瞬で、ほぼ笑いながら読める気軽さがウケているようだ。
低身長を気にする現代っ子の笹木と、保育を改革するために国会議員を目指している鳥野というダブル主人公構成。やや闇の深い黒崎と、天然フワフワの海都という女子と仲良くなり、いつも4人でわちゃわちゃしている。微笑ましくも面白く、そしていつの間にか保育にも詳しくなれるというから、まったく保育に興味がないままに読んでも、ふと考えるようになるかも知れない。
作者自身が高校時代に保育科に在籍していたため、内容は本格的で勉強になる。楽しく漫画を読みながらも、保育に興味を持つ若者が増えれば、将来の日本を背負って立つ大物も育つのではないだろうか。
(担当ライター:桜木尚矢)