欧米に比べてマッチョ志向が低く、むしろ筋肉質な人は敬遠されがちと言われてきた日本。だが最近は「筋トレ女子」なる言葉がもてはやされ、全国あちこちにジムが新設されるなど、フィットネス熱は着実に高まりつつある。そんな風潮からか、漫画にも筋肉質なヒロインキャラが増え、ついに筋トレそのものを主題にした作品『ダンベル何キロ持てる?』(原作:サンドロビッチ・ヤバ子 作画:MAAM/小学館)が人気を博すまでになった。
主人公は食べ盛りの女子高生・紗倉ひびき。ぽっちゃり体型が気になってフィットネスジムを覗いてみたのをきっかけに、筋肉フェチのお嬢様、ボクシング少女たちと仲よくなり、筋トレの楽しさに目ざめていく物語だ。作中で紹介されるトレーニング種目は本格的なバーベルを使ったものから、手軽にできる自重トレーニングまで幅広い。
注目するべきは、ただキュートな少女たちが薄着で運動するお色気要素だけでなく、マニアックすぎるほどの“筋トレ知識”が詰め込まれている点だ。エピソードごとに1つの種目を扱い、たとえば「ベンチプレス」ならバーベルの握り方、視線、ひじの角度、呼吸法まで徹底的に解説。そのまま筋トレの教科書として愛読するネットユーザーも多いらしく、漫画界でオンリーワンな存在感を放っている。
近頃ようやくフィットネスが注目されてきたとはいえ、まだ「やせたいなら絶食すればいいよね」程度の認識しかない人もいる。特に女性の過度なスリム願望は根づよく、筋力低下やスタイルの悪化が問題視されている。そうした中、漫画で楽しく筋トレが学べるようになったというのは、やはり日本人ならではのおもしろい解決アプローチと言えるだろう。
(担当ライター:浜田六郎)