漫画大国と言われる日本でも、国民的な知名度を誇るタイトルは数えるほどしかない。その中の1つ、伝説の超人格闘コミック『キン肉マン』(ゆでたまご/集英社)が、昨年第2シリーズの連載に区切りをつけ、新シリーズが始まった。昭和時代の古い作品では?と思われる人もいるかもしれないが、単行本も62巻に達している現役タイトルなのである。
本作の主人公・キン肉マンは「ダメ超人」と世間に笑われながら、悪魔超人、完璧超人といった侵略者たちから地球を守り続け、急成長を遂げていく。やがて正義超人を束ねる立場になり、死闘の末にキン肉星の王位を継承するところで第1シリーズが完結した。これが昭和末期のことで、当時は少年たちが原作漫画とアニメに熱狂し、人気超人の姿を模した「キンケシ」が飛ぶように売れた。
時は流れて2010年代。ファンの応援を受け、意欲を取り戻した作者によって続編シリーズが開幕。新たに最強の侵略者を迎え、キン肉マンと仲間たちが再び死闘を繰り広げることになった。人気作の続編は勢いが落ちるもの……という先入観を打ち破り、再開後の『キン肉マン』は全盛期と同等以上のパワーを発揮。すでにお父さん世代となった“昭和の漫画少年たち”を含め、新旧のファンを歓喜させた。
現在は出版不況と言われ、かつて『キン肉マン』が掲載されていた週刊少年ジャンプも200万部を割り込んだ。その一方、アニメ放送が今も続く『ドラゴンボール』『ドラえもん』など、親子世代で楽しめる漫画発祥のコンテンツは増えてきている。時代を超えて輝く傑作を守りながら、新しいヒット作を模索していく姿勢こそが、これからの漫画界を支えていくのかもしれない。
(担当ライター:浜田六郎)