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結婚しない若者が増え、正社員でない働き方が注目されるなど、旧来の価値観が変わりつつある現在の日本社会。「女性はおしとやかであるべき」というこれまた古い考えを一変させる漫画が人気になっている。うら若き女性が一人で酒を飲みメシを食らう作品『ワカコ酒』(新久千映/徳間書店)を今回は紹介したい。

主人公の村崎ワカコは26歳のOL。生まれつきの呑んべえで、彼氏もいるのだが最大の趣味といえば「一人酒」。仕事の帰りに、散歩のあとに、ふらりと店へ寄って好き放題に注文する。男性客ばかりの居酒屋にも平気で入り、ヤキトリの串を両手に持ってほおばるなど食べ方もワイルド。きわめつけに、何ともいえない恍惚の表情で酒を一口飲んでは「ぷしゅー」と独特の喜び表現をする。

一人で飲むことを全く気にしない女子がオヤジ臭くひたすら飲み食いするだけなのだが、これが非常にウケている。2011年の連載スタート以来、アニメ化・ドラマ化とメディアミックスが続き、さらに韓国でもドラマとしてリメイクされた。グルメ漫画の実写版が海外進出した例は『神の雫』『孤独のグルメ』などごく限られており、ましてや女性主人公の作品としては初めてかもしれない快挙だ。原作も連載100話を超えて、今なおファンから高い評価を得ている。

実は女性がワイルドに飲み食いする漫画は、『ワカコ酒』にとどまらず、現在進行形で増え続けている。ラーメンを大きな音を立てながら爆食する女子高生、そこらに生えた野草を調理して食べる美女など方向性もさまざま。昔と比べて男性主人公は弱々しく、女性主人公はたくましく――ジェンダーフリーが進む日本の世相を、漫画は敏感に反映しているのかもしれない。

(担当ライター:浜田六郎)

 

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