180621 ゆるキャン△1巻書影

©あfろ/芳文社

アウトドアの定番・キャンプと言えば夏のイメージが強い。しかし、キャンプを楽しめる最高の時期は、虫もいない、人が少ない、暑くない「冬」なのかもしれない。近年、日本ではアウトドアブームが到来しており、冬キャンプの人気も高まっている。その火付け役となった漫画が『ゆるキャン△』(あfろ/芳文社)だ。

肌寒くなってきたとある日。本栖湖の麓でソロキャン(1人キャンプ)を楽しんでいた志摩リンは、遭難しかけていた各務原なでしこを助ける。大自然の中で一緒に食事を食べ、一緒に富士山を見る。なでしこはこの時の経験が忘れられず、アウトドアに興味を持つようになった。後日、なでしこは転校先の高校でリンと再会を果たす。クールなリンは、オフシーズンのソロキャンがメイン。テントも道具も本格派のベテランだ。一方、明るく人懐っこいなでしこは、高校のアウトドアサークル「野クル」でグループキャンプを楽しむ。限られたお小遣いでいかに安く工夫して楽しむかに重点を置いている。

物語は、対照的な2人の少女が交互に描かれていく。美しい風景、美味しそうなキャンプ飯。柔らかく可愛らしいタッチながら説得力のある描写は、綿密な取材と作者の豊富なアウトドア経験が盛り込まれている。全力でキャンプを楽しむ彼女達から息遣いが伝わってくる理由も頷ける。

道具類の進歩もさることながら、近年は衛生・設備が充実しているキャンプ場が増え、一年中快適にキャンプを楽しめる環境が整っている。冬の澄み切った空気はどの季節より星空が美しく、たき火や薪ストーブの炎も一層温かい。夏とはひと味違う冬キャンプの醍醐味を味わってみたい。『ゆるキャン』には、そう思わせてくれる魅力がある。

(担当ライター:森野沙織)

 

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