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娯楽として消費されるだけでなく、料理の作り方、洋服の選び方、ダイエット、恋愛、人を説得するプレゼン術など、さまざまな実用ノウハウを伝えるのにも役立っている日本の漫画。最近は「上手な睡眠のコツ」を教える作品『ねるじょし』(酉川宇宙/芳文社)が登場し、ネットユーザーたちから良好な反応を得ている。

主人公は容姿端麗にして、勉強もスポーツもパーフェクトにこなす女子高生・西城ルネ。彼女は最上級の睡眠を追求するという、クラスメイトには明かせない強烈なこだわりを持っている。その背景には、良質な眠りによって成長ホルモンを分泌させ、唯一の欠点である胸の小ささを改善しようという、なんとも乙女らしい事情があった。理想のスタイルを手に入れるため、あらゆる努力をこなしていくルネの日々がコメディ形式で描かれる。

作中で紹介される快眠ノウハウは多岐にわたる。ぬるめのお風呂につかってアロマを嗅ぐ、あえて昼寝することで夜の睡眠の質を高める、安眠のツボを刺激する、睡眠リズムを正常化させる脳内物質(セロトニン)を出すなど、理にかなったものばかり。かわいい女の子の日常を楽しみながら、読者も睡眠への理解を深めることができる。

思えば、人間の三大欲求のうち「食欲」「性欲」を扱った漫画は膨大な数になるが、「睡眠欲」にフォーカスした作品は『ねるじょし』が登場するまで皆無に近かった。漫画大国ニッポンとしても意外な盲点だったわけだ。OECD(経済協力開発機構)が行った近年の調査によると、日本は韓国と並んで世界でもトップクラスに睡眠時間が短い国だという。これからは本作を皮切りに同ジャンルの漫画が増え、もっと眠ることの重要性が認知されていくのを期待したい。

(担当ライター:浜田六郎)

 

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