最近の日本では一度完結した人気漫画のスピンオフ、番外編、後日談などを作品化することが増えている。読者を獲得しやすいビジネス面の利点もあるのだろうが、ファンとしても作品をより楽しめるのはうれしいはず。今回紹介する『MIX』は、小学館「ゲッサン」にて好評連載中の野球漫画で、同じ小学館発行の「週刊少年サンデー」で1980年代に連載され、アニメやドラマにもなった名作『タッチ』の30年後が舞台だ。
『タッチ』に双子の兄弟とヒロインとして幼なじみの女の子が登場したように、『MIX』でも兄弟とヒロイン位置にその妹が描かれている。ただし本作における兄弟は親同士の再婚によるもので、兄の立花走一郎と妹の音美は本当の兄と妹であるものの、弟の投馬と音美に血縁はない。この辺りは、後々カップルになるのだろうなと推測しつつ読んでいくことになる。
高校1年時に惜しくも地区予選準決勝で敗退した明青学園の走一郎・投馬の兄弟だったが、2年に進学してさらに力を付けただけでなく、実力のあるチームメイトも増えたことで、明青学園が甲子園に出場する可能性は高くなっている。しかしながら、強力なライバル校も同じ地区に存在しているので油断は禁物だ。彼らとの試合をどう盛り上げてくれるか、作者であるあだち充先生の手腕に期待しよう。
期待といえば、『タッチ』の有名キャラクターが、30年後の本作に次々と登場している。あだち充先生の考えひとつながら、この後の展開で『タッチ』の主人公である上杉達也やヒロインの浅倉南が『MIX』に登場するのか。さらに2019年春にはアニメ化も決定した。こちらも楽しみにしたい。
(担当ライター:県田勢)