ここ数年、街中や観光地でロードバイクやクロスバイクに乗っている若い女性達を見かける機会が多くなった。健康志向、自動車離れなどの理由はあるだろうが、きっかけの1つとなったのが熱血ロードレース漫画『弱虫ペダル』の大ヒットだ。この作品を見て自転車を始めたいと思った人も多いはず。けれど、初心者にとってスポーツ自転車はハードルが高い。そんな二の足を踏んでいる人の背中を押してくれる漫画が『ろんぐらいだぁす』(三宅大志/一迅社)だ。
主人公はちょっとドジな大学1年生の倉田亜美。ある日、街中を走っていた折りたたみ自転車に一目惚れ。一念発起して自転車ショップに行き、スポーツ自転車の値段に驚きながらも、お気に入りの折りたたみ自転車を見つける。どこか自信のなかった亜美が、自転車を通じて仲間と出会い、サイクリングの楽しさや厳しさを体感。やがて、長距離サイクリングの大会「フレッシュ」に仲間達と参加したいと願うようになる。
本作にはライバルはいない。レースで競うわけでもない。気の合う仲間達と自転車で遠くまで行く。景色を眺め、美味しいものを食べて楽しむのだ。一方でハンガーノックや脱水症状など初心者が陥りがちなトラブルもしっかり描かれており、これから自転車を始めたい人への入門ガイドとしても最適。亜美を見ていると、新しい何かを始めるのに理由は必要ない。いつからでもいいのだと背中を押してくれるようだ。
日本ではまだまだ自転車専用レーンの整備など自転車を楽しめる環境作りは追いついていない。早急な環境整備を望むのはもちろんだが、亜美達のように楽しむには交通ルールをきちんと守るのが大前提。自転車は軽車両であることをお忘れなく!
(担当ライター:森野沙織)