恋愛は理屈ではないとよく言うけれど、今回ご紹介する『かぐや様は告らせたい』(赤坂アカ/集英社)に関しては少々事情が異なる。エリート達が集う名門校・秀知院学園生徒会副会長にして“万能の天才”四宮かぐやと、生徒会会長にして“努力の天才”白銀御行はお互いに惹かれ合いながらもその仲は一向に進展しなかった。その理由は、2人が天才だったから――。
かぐやと御行は天才であるが故に、そのプライドの高さも半端ない。プライドが高すぎる故に、自分から告白するのではなく相手から告白してくるなら付き合ってもいい、そうした極論とも呼べる結論に2人はたどり着く。そして日々、2人の恋愛頭脳戦が繰り広げられる。そう、本作に関しては恋愛は理屈ばかりなのだ。お互い好きなくせに素直になれないというのは恋愛物の鉄板。しかし、本人達は素直でないという次元を超越。時に知略、時に権謀術数を巡らせ、相手から告白させようとしては空回りする。そんな2人の姿はじれったく、おかしく、可愛らしい。
日本における恋愛は基本的に“告白”からスタートすることが多いが、どうやら日本や一部の国だけの恋愛観らしい。直接的な告白こそまだだが、かぐやと御行がいかにお互いを大切に想っているか読者には一目瞭然。作中ではまだ描かれていないが、孤独で人を寄せ付けなかったかぐやが、なぜ御行のことを好きになったのかも気になるところだ。
最近では、様々なメディアで恋愛をしない若者が増えてきたと言われているが、恋愛をテーマにした作品はやはり根強い人気がある。その中でも本作は要注目の作品だ。天才達の面倒な恋の行方はもちろんだが、“お可愛い”かぐや様にも存分に萌えていただきたい。
(担当ライター:森野沙織)